ひとつひとつのオルガンに、物語がある。
映画『風琴』タイトルロゴ
〜あるリードオルガン修復家のあしあと〜

映画『風琴』公式サイト

予告編

お知らせ

和久井さんが手がける修理の様子

作品概要

昔、学校の教室で見かけた木製の足踏みオルガンは、明治時代に「風琴」と呼ばれていた。 このオルガンは、今どうなっているのか。

現在、リードオルガン(足踏みオルガン)を製造するメーカーは世界を見渡してもどこにも無い。
長野県在住の修復家・和久井輝夫さん(1937年生まれ)は、リードという金属片が振動して鳴るこの複雑なオルガンを、修復し、メンテナンスができる数少ない存在だ。
和久井さんが日本各地で手がける修理の様子を追うとともに、リードオルガンの歴史と、その魅力を支えるさまざまな人々を描くドキュメンタリー。
オルガンを愛するひとたちが、ここにいる。

Ⓒ 映画「風琴」製作実行委員会 2025年/日本/カラー/16:9/ステレオ/ 84分/日本語/DCP

和久井さんが日本各地で手がける修理の様子

リードオルガンを知っていますか?

足踏み板を踏んで風の流れを作り、吸い込まれた空気が、内部に嵌め込まれたリードという金属を振動させて音が鳴る。19世紀後半にヨーロッパやアメリカから輸入され、日本の楽器メーカーもこぞって生産した。教会や学校だけでなく、昭和中期には家庭にも普及した「あの」オルガンです。子供から大人まで西洋音楽のはしりに、日本独自の文化として根付いたともいえる。見た目はシンプルなものから、工芸品的な立派なものまであり、発音機構は外から見えにくいので意外と複雑。

今や製造されていないので、知らない世代の方が多いが、風を通した木の箱で響くやさしい音色は、誰でもきっと魅惑されることだろう。

リードオルガンの歴史と、その魅力を支えるさまざまな人々を描くドキュメンタリー

推薦のことば

リードオルガンを愛する私にはたまらない映画です。ひとつひとつ個性あふれるリードオルガンに、目と耳が釘付けになりました。そして、登場するおひとりおひとりのリードオルガンへの愛に、うん、うん、と深くうなずきました。日本の近代化から戦後の経済成長まで、西洋音楽の普及と教育に果たした役割の大きさを改めて思いながら、素朴なうた心と無限の可能性をもつこの楽器の魅力を再認識しました。弾きたくなっちゃった!

— 沢知恵(さわともえ 歌手)

フォーレは幼い頃からハルモニウムに親しんでおり、『レクイエム』もハルモニウムを使って作曲した。昭和にどこにでもあった足踏みオルガンは、日本と西洋をつなぐ重要な楽器だった。心の記憶だけでなく、オルガンの手作りの佳き美しさが再認識される今。丁寧に撮影記録された映画「風琴」を、多くの世代に見てもらい、奏でてほしい。

― 延原武春(日本テレマン協会 音楽監督)

病棟で奏でるリードオルガンの音色は、ともに暮らす患者仲間たち、スタッフ、そして亡き者たちをもつなぐ、いのちのダイアリーのようです。リードオルガン修復家 和久井輝夫さんの手によって息を吹き返した楽器は、今、この病棟に息づく一呼吸一呼吸と響きあって、ともに今日を奏でています。 受け継がれてきたかけがえのない響きの一つひとつー。 映画「風琴」を通して、今こそ、時空を超え、多くの方のもとに届けられますように!

― 松原葉子(リードオルガン奏者)

スタッフ

監督・構成:

黒瀬政男

製作プロデューサー:

善沢志麻

製作:

映画「風琴」製作実行委員会

撮影: 黒瀬政男、 神吉良輔 撮影助手: 佐藤佳奈子、 山添元晴、 末岡志月 音楽録音: 善沢正博 整音: 湯原大地 ナレーション: 徳永爽 サウンドデザイン: コウベレックス BGM提供: 池田奈生子、 神戸市室内管弦楽団 ほか

出演:

和久井輝夫、 中村証二、 相田南穂子、 赤井励、 イマイアキ、 伊藤信夫、 伊藤園子、 上島一高、 小川瞳、 桜木レンカ、 スコット・ショウ、 鈴木真緒、 高井郁代、 田中依子、 中村治、 平井真美子、 松本花、 和久井知恵、 和久井紀子、 和久井真人、 須坂教会のみなさん 他

ロケ地:

工房和久井(長野県須坂市)、 須坂市立仁礼小学校、 高野辰之記念館、 陸前高田市立博物館、 宮内庁楽部、 日本キリスト教団*神戸聖愛教会、 *須坂教会、 *倉敷教会、 *松山教会、 *善通寺教会、 カトリック北須磨教会、 聖グレゴリオの家、 浜松市楽器博物館、 博物館明治村、 アトリエ・ピアノピア、 白亜荘、 松山東雲中学・高等学校 他

後援:

日本リードオルガン協会、 (一社)日本ピアノ調律師協会、 (公財)神戸市民文化振興財団 他

プロフィール

出演:和久井輝夫

出演:和久井輝夫

調律師。歴史的リードオルガン の修復家。1937 年長野県出身。河合楽器製作所のピアノ調律師を経て独立。1980 年代、全国の教会などから リードオルガンの修理、調律の依頼が舞い込む。その後、国内のリードオルガン生産が終了し、メンテナンスできる技術者が激減、楽器存続が危ぶまれた時期にも、和久井さんが地道にかつ精力的にオルガンに向き合い、本来の楽器の姿へと力を尽くした。 パイプオルガンや電子オルガンの導入で捨てられそうになったオルガンを各地の演奏者たちとの連携で救済し、手をかけてやれば、将来何年でも美しい音色を奏でられることを人々に伝え、やがて日本ならではの独自のオルガン復興を果たしたといえる。現在は長男の真人さんと協力しながら、国内外のオルガンや 120 年以上前の貴重な銘器の修復に携わり、再び奏でられた芳醇な音色が、幅広い世代から喜ばれている。
【多数の修復楽器中、特に歴史的に貴重なもの】 宮内庁楽部、聖グレゴリオの家、倉敷教会等のハルモニウム、明治村聖ヨハネ教会堂、明治学院の足鍵盤付大型リードオルガン その他、陸前高田で津波に被災した海保製オルガン(国内現存3台のみ)など

演奏:中村証二

演奏:中村証二

オルガニスト。日本のリードオルガン演奏・指導の第一人者。愛媛県出身。4 歳からリードオルガンを学び始め、12 歳で礼拝奏楽者となる。広島大学、東京声専音楽学校卒業。ピアノを金井紀子、オルガンを林佑子に師事。曽山一夫を通じて息づかいを大切にするリードオルガン独特の奏法に出合う。倉敷教会ハーモニウム修復記念、陸前高田奇跡のオルガン復活記念、明治村聖ヨハネ教会堂オルガン修復披露等、各地の歴史的楽器による演奏会や様々な講習会に招かれ、楽器と対話しつつ奏でる個性的で美しい音色には定評がある。ソロCD「そよ風のリードオルガン」「君もそこにいたのか~オルガンで綴るキリストの生涯」(コウベレックス)。日本リードオルガン協会会長。日本基督教団善通寺教会奏楽者。

監督・構成:黒瀬政男

監督・構成:黒瀬政男

1954 年生まれ。1977 年大阪芸術大学映像計画学科卒業。映画、テレビ番組、ラジオ番組、CM等の制作に携わり、制作会社勤務を経て1992 年よりフリーディレクターとして独立。2000 年、黒瀬映像演出事務所開設。1996 年~ 2025 年、関西大学社会学部非常勤講師として、映像制作実習を担当。人権や社会にフォーカスをあてたド キュメンタリー制作、若い人たちの制作指導をしながら、監督、脚本、プロデューサーとして活躍中。「ワタシタチハニンゲンダ」(2022年)の編集を担当。映画「今日が世界のすべて」(2022年)はカンヌショーツ監督賞ノミネートされ、ニューヨークシネマトグラフアワードでは最優秀プロデューサーに選出、世界で15 以上の受賞。

プロデューサー:善沢志麻

プロデューサー:善沢志麻

音楽プロデューサー、レコーディング・ディレクターとして、特にクラシック音楽、オルガンや教会音楽のコンテンツの収録や音源製作に携わっている。音楽レーベル KRS のCDは、「レコード芸術」誌などでも特選盤や録音評において、高い評価を得ている。DVD「パイプオルガン入門」(2006年)は国内で初めてのオルガン教則ビデオ。コウベレックス 代表。

劇場情報

【兵庫県】元町映画館(8月2日〜 8日)

【大阪府】シアターセブン(8月16日〜22日)

リードオルガンの歴史と、その魅力を支えるさまざまな人々を描くドキュメンタリー